○上田地域広域連合救急業務等に関する規程

平成10年4月1日

消防本部訓令第23号

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号)、救急業務実施基準等に基づき、上田地域広域連合内における救急業務等の効率的運営を図るために必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において「救急業務」とは、次の各号に掲げる業務をいう。

(1) 災害により生じた傷病者又は屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた傷病者で医療機関、その他の場所(以下「医療機関等」という。)へ緊急に搬送する必要があるものを救急隊によって医療機関等に搬送すること。

(2) 屋内において生じた傷病者(前号で規定するものを除く。)で、医療機関等へ緊急に搬送する必要があるもの(現に医療機関にある傷病者で、当該医療機関の医師が医療上の理由により医師の病状管理のもとに緊急に他の医療機関等へ移送する必要があると認めたものを含む。)を医療機関等へ迅速に搬送するための適当な手段がない場合に救急隊によって医療機関等に搬送すること。

(3) 傷病者を搬送することがその生命に著しく危険を及ぼすおそれがあり、又は傷病者の救助にあたり、緊急に医療を必要とする場合に、救急隊によって医師を当該傷病者のいる場所に搬送すること。

(4) 医療機関等から緊急に医療用資器材又は医薬品等の輸送について要請のあった場合には、別に定めるところにより輪送すること。

(5) その他、消防長が緊急と認めたもの

2 この規程において「救急事故」とは、救急活動の対象となる事故等とし、別表第1に掲げるものをいう。

(救急業務等の管理)

第3条 署長は、この規程の定めるところにより所属職員を指揮及び監督して執行態勢の確立を図るとともに救急業務等の万全を期するものとする。

2 署に救急担当係長を設け、救急業務等の効果的な運営に努めるものとする。

(救急隊の設置)

第4条 救急業務を行うため、上田中央消防署、上田東北消防署、上田南部消防署、川西消防署、丸子消防署、真田消防署、東御消防署及び依田窪南部消防署に救急隊を設置する。

(救急隊の構成等)

第5条 救急隊は、救急隊員(以下「隊員」という。)及び救急自動車をもって構成する。

2 前項の救急隊員は、救急隊長、救急員及び機関員をもって編成し、1隊は3人とする。

(救急隊員の任命等)

第6条 消防長は、消防庁長官若しくは都道府県知事又は市町村長が行う救急業務に関する講習の課程を修了した者のうちから救急隊員(以下「隊員」という。)を任命するものとする。

2 前項の隊員に一時的な欠員が生じた場合は署長又は当直司令の指名により補充するものとする。

(救急隊長、救急員及び機関員の任務)

第7条 救急隊長は、救急現場の状況を的確に把捉するとともに、救急員及び機関員を指揮して、別表第2に規定する救急活動の基本的事項に当たるものとする。

2 救急員及び機関員は、隊長を補佐し、効果的な救急活動を行うものとする。

(救急出場区域)

第8条 救急業務等の出場区域は、別表第3のとおりとする。

2 同一区域内に同時に2件以上の救急事故が発生した場合、最寄りの救急隊へ出場を要請することができるものとする。

3 前項のほか、他の地方公共団体と協定を結び、又は消防長が必要と認めた場合は、第1項に定める出場区域以外でも出場することができるものとする。

(救急隊の出場)

第9条 消防長又は消防署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき、又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ直ちに該当する救急隊を出場させるものとする。

(救急処置の実施)

第10条 救急処置は、傷病者を医療機関に引き継ぐまでの間、又は医師が救急現場に到着するまでの間に応急の処置を施さなければ当該傷病者の生命に危険があり、又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合に実施するものとする。

(医療機関の選定)

第11条 傷病者の搬送に当たっては、傷病者の症状に適応した医療が速やかに施しうる最も近い医療機関を選定するものとする。

2 区域外の医療機関への依頼搬送については、署長又は当直司令の指示によるものとする。

(傷病者の搬送)

第12条 傷病者の搬送に当たっては、傷病者の状態からみて搬送可能と認められる場合に限り当該傷病者を搬送するものとする。

(医師の協力要請)

第13条 医師の救急現場への要請は、次の各号に掲げる場合に行うものとする。

(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合

(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合

(3) 救助作業に伴い、救出されるまでに医療行為が必要であると認められる場合

(搬送を拒んだ者の取扱い)

第14条 救急業務の実施に際し傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合はこれを搬送しないものとし、その事務処理は救急車乗車取消願書(様式第1号)によるものとする。

(転院搬送)

第15条 第2条第1項第2号に基づく医療機関にいる傷病者を搬送(以下「転院搬送」という。)する場合は、当該医療機関の医師からの要請で、かつ、搬送先医療機関が確保されている場合に行うものとする。

2 「転院搬送」を行う場合は、当該医療機関の医師、又は看護師を同乗させるものとする。ただし、医師が病状管理上必要がないと認めた場合に限り、医師、又は看護師を同乗させないで搬送することができる。

3 転院搬送の依頼を受けた場合は、署長又は当直司令の指示によるものとする。

(搬送制限)

第16条 傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると判断した場合は、これを搬送しないものとする。

(出場報告)

第17条 救急隊が出場した場合、隊長は救急報告書記載要領に基づき、救急出場報告書(様式第2号)を作成し署長へ提出しなければならない。

2 傷病者を搬送し医療機関に引き渡した場合、当該事実を確認する医師の署名または押印を受けるものとする。

(救急月報報告)

第18条 救急業務実施署は、救急月報(様式第3号)を作成し、消防長に提出しなければならない。

(救急速報)

第19条 署長は、次の各号のいずれかに該当する救急事故又は災害が発生した場合は、救急速報(様式第4号)及び救急詳報(様式第5号)により速やかに消防長に報告するものとする。

(1) 傷病者及び死者の合計が15人(交通事故又は急病にあっては30人)以上の事故

(2) 死者5人以上の事故

2 火災による事故で、この報告と火災即報を同時に行う場合は、火災即報と重複する事項については省略することができる。

3 この報告は、電話等によって行うものとする。

(救急出場証明申請書)

第20条 救急出場証明を受けようとする者は、救急出場証明申請書(様式第6号)により消防署長に申請しなければならない。

2 前項の規定により救急出場証明の申請があったときは、救急出場証明書(様式第7号)を交付するものとする。

(救急医療機関の指定)

第21条 救急医療機関の指定については「長野県救急告示医療施設」として告示された機関について、この規程においても同様の扱いとする。

(大災害の処置)

第22条 消防長は、地震、水火災その他の災害による事故で、その規模が特に大きいと認められたときは、他の機関又は団体の応援を求め、人員車両を増強する等臨機の処置をとるものとする。

(感染症と疑われる者の取扱い)

第23条 救急隊長は、感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、救急隊等その他の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を署長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し所要の措置を講ずるものとする。

(補則)

第24条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。

この規程は、公布の日から施行する。

(平成11年3月30日消防本部訓令第4号)

この規程は、平成11年4月1日から施行する。

(平成14年3月29日消防本部訓令第9号)

この規程は、平成14年4月1日から施行する。

(平成16年3月31日消防本部訓令第4号)

この規程は、平成16年4月1日から施行する。

(平成17年9月30日消防本部訓令第8号)

この規程は、平成17年10月1日から施行する。

(平成18年3月1日消防本部訓令第2号)

この規程は、平成18年3月6日から施行する。

(平成19年12月13日消防本部訓令第10号)

この規程は、平成20年1月1日から施行する。

(平成25年3月25日消防本部訓令第6号)

この規程は、平成25年4月1日から施行する。

別表第1(第2条)

救急事故等の種別

区分

種別

摘要

不慮の事故

交通事故

すべての交通機関相互の衝突及び接触又は単一事故若しくは交通機関が歩行者等との接触したことなどによる事故をいう。

火災事故

火災現場において直接火災に起因して生じた事故をいう。

運動競技事故

運動競技の実施中に発生した事故で直接運動競技を実施している者、審判員及び関係者等の事故(ただし、観覧中の者が直接に運動競技用具等によって負傷した者は含み、競技場内の混乱による事故等は含まない。)をいう。

自然災害事故

暴風、豪雨、豪雪、洪水、地震、噴火、雪崩、地すべり、その他異状な自然現象に起因する災害による事故をいう。

水難事故

水泳中の溺者又は水中転落等による事故をいう。

労働災害事故

各種工場、事業所、作業所、工事現場等において就業中発生した事故をいう。

一般負傷

他に分類されない不慮の事故をいう。

故意の事故疾病

自損行為

故意に自分自身に傷害等を加えた事故をいう。

加害

故意に他人によって傷害等を加えられた事故をいう。

急病

疾病によるものをいう。

その他

転院搬送

第2条第1項第2号によるもの

医師搬送

第2条第1項第3号によるもの

資器材等輸送

救急現場へ救急資器材等を輸送するものをいう。

その他

上記の種別に分類不能のもの及び誤報、又はいたずらをいう。

別表第2(第7条)

1 傷病者の観察等

(1) 救急隊員は、応急処置を行う前に、傷病者の症状に応じて、次の表に掲げるところに従い傷病者の観察等を行うものとする。

区分

方法

ア 顔ぼう

表情や顔色を見る。

イ 意識の状態

(ア) 傷病者の言動を観察する。

(イ) 呼びかけや皮膚の刺激に対する反応を調べる。

(ウ) 瞳孔の大きさ、左右差、変形の有無を調べる。

(エ) 懐中電灯等の光に対する瞳孔反応を調べる。

ウ 出血

出血の部位、血液の色及び出血の量を調べる。

エ 脈拍の状態

とうこつ動脈、総頸そうけい動脈、大腿だいたい動脈等を指で触れ、脈の有無、強さ、規則性、脈の早さを調べる。

オ 呼吸の状態

(ア) 胸腹部の動きを調べる。

(イ) 頬部きようぶ及び耳を傷病者の鼻及び口元に寄せて空気の動きを感じとる。

カ 皮膚の状態

皮膚や粘膜の色及び温度、付着物や吐物等の有無及び性状、創傷の有無及び性状、発汗の状態等を調べる。

キ 四肢の変形や運動の状態

四肢の変形や運動の状態を調べる。

ク 周囲の状況

傷病発生の原因に関連した周囲の状況を観察する。

(2) 救急標準課程又は救急Ⅱ課程を修了した救急隊員は、(1)に掲げるもののほか、応急処置を行う前に傷病者の症状に応じて、次の表に掲げるところに従い傷病者の観察等を行うものとする。

区分

方法

ア 血圧の状態

血圧計を使用して血圧を測定する。

イ 心音及び呼吸音等の状態

聴診器を使用して心音及び呼吸音等を聴取する。

ウ 血中酸素飽和度の状態

血中酸素飽和度測定器を使用して血中酸素飽和度を測定する。

エ 心電図

心電計及び心電図伝送装置を使用して心電図伝送等を行う。

(3) 救急隊員は、応急処置を行う前に、傷病者本人又は家族その他の関係者から主訴、原因、既往症を聴取するものとする。

2 応急処置の方法

(1) 救急隊員は、観察等の結果に基づき、傷病者の症状に応じて、次の表に掲げるところに従い応急処置を行うものとする。

区分

方法

ア 意識、呼吸、循環の障害に対する処置

(ア) 気道確保

a 口腔内の清拭

直接手指又は手指にガーゼを巻き、異物を口角部からかき出す。

b 口腔内の吸引

口腔内にある血液や粘液等を吸引器を用いて吸引し除去すること。

c 咽頭異物の除去

背部叩打法又はハイムリック法により咽頭異物を除去する。

d 頭部後屈法又は下顎挙上法による気道確保

頭部後屈法又は下顎挙上法で気道を確保する。

e エアーウェイによる気道確保

気道確保を容易にするためにエアーウェイを挿入する。

(イ) 人工呼吸

a 呼気吹き込み法による人工呼吸

次の方法により直接傷病者の口や鼻から呼気を吹き込む。

(a) 口対口による人工呼吸

(b) 口対鼻による人工呼吸

(c) 口対ポケットマスクによる人工呼吸

b 手動式人工呼吸器(マスクパック人工呼吸器)による人工呼吸

手動式人工呼吸器を用いて人工呼吸を行う。

c 自動式人工呼吸器による人工呼吸

自動式人工呼吸器を用いて人工呼吸を行う。

d 用手人工呼吸

ジルベスター法変法又はアイブイ法等により人工呼吸を行う。

(ウ) 胸骨圧迫心マッサージ

手を用いて胸骨をくり返し圧迫することにより心マッサージを行う。

(エ) 酸素吸入

加湿流量計付酸素吸入装置その他の酸素吸入器による酸素吸入を行う。

イ 外出血の止血に関する処置

(ア) 出血部の直接圧迫による止血

出血部を手指又はほう帯を用いて直接圧迫して止血する。

(イ) 間接圧迫による止血

出血部より中枢側を手指又は止血帯により圧迫して止血する。

ウ 創傷に対する処置

創傷部をガーゼ等で被覆しほう帯をする。

エ 骨折に対する処置

副子を用いて骨折部分を固定する。

オ 体位

傷病者の症状や創傷部の保護等に適した体位をとる。

カ 保温

毛布等により保温する。

キ その他

傷病者の生命の維持又は症状の悪化の防止に必要と認められる処置を行う。

(2) 救急標準課程又は救急Ⅱ課程を修了した救急隊員は、(1)に掲げるもののほか、観察等の結果に基づき傷病者の症状に応じて、次の表に掲げるところに従い応急処置を行うものとする。

区分

方法

ア 意識、呼吸、循環の障害に対する処置

(ア) 気道確保

a 吐物及び異物の除去

喉頭鏡及び異物除去に適した鉗子等を使用して吐物及び異物を除去する。

b 経鼻エアーウェイによる気道確保

気道確保を容易にするため経鼻エアーウェイを挿入する。

(イ) 胸骨圧迫心マッサージ

自動式心マッサージ器を用いて心マッサージを行う。

イ 血圧の保持に関する処置並びに骨折に関する処置

ショック・パンツを使用して血圧の保持と骨折肢の固定を行う。

ウ その他

在宅療法継続中の傷病者の搬送時に、継続されている療法を維持するために必要な処置を行う。

(3) 救急救命士の資格を有する救急隊員は、別表第2に掲げるもののほか、救急救命士法(平成3年法律第36号)の定めるところにより応急処置を行うものとする。

別表第3(第8条)

救急出場区域表

救急隊

出場区域

上田中央消防署

上田市中央一丁目、中央二丁目、中央三丁目、中央四丁目、中央五丁目、中央六丁目、中央北一丁目、中央北二丁目、中央北三丁目、中央東、中央西一丁目、中央西二丁目、天神一丁目、天神二丁目、天神三丁目、天神四丁目、二の丸、常磐城一丁目、常磐城二丁目、常磐城三丁目、常磐城四丁目、常磐城五丁目、常磐城六丁目、緑が丘一丁目、緑が丘二丁目、緑が丘三丁目、大手一丁目、大手二丁目、踏入一丁目、踏入二丁目、常田一丁目、常田二丁目、常田三丁目、常入一丁目、材木町一丁目、材木町二丁目、常入、秋和、上塩尻、下塩尻、上田(新田、中丘)、常磐城

上田南部消防署

上田市上田原、下之条、神畑、築地、福田、吉田、小泉(半過)、富士山、古安曽、下之郷、本郷、五加、中野、小島、保野、舞田、八木沢、十人、新町、前山、手塚、山田、野倉、小牧、諏訪形、御所、中之条

上田東北消防署

上田市上野(畑山を除く)、古里、住吉、殿城、漆戸、芳田、林之郷、大屋、岩下、蒼久保、上田(新田、中丘を除く)、国分一丁目、国分

川西消防署

上田市仁古田、岡、浦野、越戸、下室賀、上室賀、小泉(半過を除く)、別所温泉、青木村

丸子消防署

上田市西内、鹿教湯温泉、平井、東内、腰越、上丸子、中丸子、下丸子、御嶽堂、生田、長瀬、塩川、藤原田、本海野

真田消防署

上田市真田町長、菅平高原、真田町傍陽、真田町本原、上野(畑山)

東御消防署

東御市

依田窪南部消防署

上田市武石鳥屋、武石沖、下武石、上武石、武石下本入、武石上本入、武石小沢根、武石余里、長和町

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上田地域広域連合救急業務等に関する規程

平成10年4月1日 消防本部訓令第23号

(平成25年4月1日施行)

体系情報
第8編 防/第3章
沿革情報
平成10年4月1日 消防本部訓令第23号
平成11年3月30日 消防本部訓令第4号
平成14年3月29日 消防本部訓令第9号
平成16年3月31日 消防本部訓令第4号
平成17年9月30日 消防本部訓令第8号
平成18年3月1日 消防本部訓令第2号
平成19年12月13日 消防本部訓令第10号
平成25年3月25日 消防本部訓令第6号